インターネットで長屋のリフォーム まずは準備

現状

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1.現状

今回のリフォーム物件は、築40年ほどの長屋です。しかも建築以来ほとんど手が入れられていない状態。昭和40年代の貴重な資料?

下はもともとの間取り。

 

私はもともとMac使いで、仕事でもガッツリ使ってますからイラストレーターCS3で精密に図面を書きます。ワードやエクセルでも近いことはできるので、環境がない方は自分にできる範囲でやれば大丈夫です。私のしてることはただの自己満足で、施工業者さんには概略が伝わればそれでいいので。もちろん手書きでも全く問題ありません。

A案大きな間取り図へ

2.間取り図

まずは間取り図を作成します。柱や基礎などの構造の大きな変更をするには構造計算が必要になりますし、私は建築士でもなんでもないので構造は基本的にいぢらないようにしています。補強はしてもらうようにしていますが。

A案。元の間取りを活かして、部屋を最大限広く使えるようにしたもの。

その上で風呂を拡張し、独立洗面台を作るということでこういう間取りに。押し入れを少し右に移動しているのがミソです。この点は他の2案も同じです。

B案大きな間取り図へ

B案。この家は物干し場がなく、表の市道に洗濯物を干していたというのが気になって物干し場の設置をメインテーマにしました。

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C案。B案の変型です。玄関から奥が見える作りは最近の住宅ではあまり見かけないので考えてみました。まあしかし逆にキッチンやお風呂方向が見える方がいやだろうな、ということで早々にお蔵入りしました。他にも何案か作図はしていますが、リフォームの場合間取りの制約をどうしても受けますから大差はありません。洗濯機パンの位置で悩んだあとが見えます。洗濯機を置く設備はもともとこの位置・図面の左側だったのですが、お隣に接するのはやめようということで最終的にB案のように右側に置くことにしました。

この時点で、身近なOLさんとか学生さんたちに見てもらって意見をいただいています。(多数決で決めるわけにはいきませんが)

 

クライアントにももちろん相談し(今回のは身内ですけど)、最終的にB案としました。ここまでで約1ヶ月を要しています。

間取りが決まれば次は壁面図を作っていきます。実際は間取り図を書きながらポイントになるところの壁面図は先に書いてたりします。

外観-玄関側

3.外観図

壁面図の中で最初に書いたのが外観図です。もちろん何案か作って、ドアのタイプや壁の色を決めていきました。

こういった古い建物の玄関リフォーム用のアルミサッシが各社から出ています。今回はトステムの比較的安いものを選びました。最新デザインのドアだと高さが約2300ミリもありまして、古い建物だと壁を削らないとまず入りません。この建物はひさしもあって削れないので選択肢があまりありませんでした。

ステンドドア予備

ステンドドア予備2

4.シンボル

室内の壁面図を書く大前提として、私は部屋全体のシンボルを決めるところから入ります。今回のシンボルはドアです。
この建物の地域の賃貸住宅事情として新しいマンションやハイツ(マンション風のインテリアになっている)がどんどん建っているということで、古い長屋やアパートを普通にマンション風にリノベーションしただけでは太刀打ちできないということがわかってきました。
今のところそういうときにできるワザは2つしか持っていません。ひとつは、極力元の部屋はいぢらず安い価格設定で貸し出すこと。もうひとつがステンドグラスのドアを使うことです。東京や大阪の中心部なら思い切って個性的な部屋を作っても借り手は見つかるでしょうけど、普通の住宅地ではそれはリスキーすぎます。どうしても無難な方向に進むことになります。今回は無難な中での選択肢としてステンドグラスのドアを使ってちょっとだけ個性的な部屋を作ることに決めました。
以前この地域でリノベーションしたときは水廻りを充実させて、一般賃貸住宅よりは2ランクぐらいグレードの高い流し台や洗面台、ユニットバスを使って差別化を図りました。今回は逆にそういうところはそこそこに抑えて建具で勝負することに決めました。

 

インターネットで安く建材を手に入れるのが実は趣味のひとつです。ステンドグラスやドア、ときにはステンドグラスのはまったドア、蛇口やら把手やら丁番やら安くていいのを見つけるとどんどん買います。オークションが多いですが通販サイトでも新古の出物がたまにあったりします。ステンドグラスドアのストックが2枚あったので今回はそのどちらかを使うことにしました。

 

少しアダルトな雰囲気の方がいいかということで、使うことに決めたのは下のドアです。(→ドアの概略・補修の途中経過はこちら

ちなみに上のドアのステンドグラスは実際はもう少し鮮やかな色です。薔薇は少しだけくすんだ赤色で葉は少しだけくすんだ緑です。彼女の名誉のためそれだけは言っておくとしましょう(笑)。

ステンドグラス

ステンドドア以外にもう1カ所、玄関を入ったところの壁にステンドグラスをはめ込むことにしました。こちらもストックから1枚使います。壁へのはめこみは私の手がけたほとんどの部屋で行っていますが、気に入っていただける方は多いようです。(とはいえ部屋を借りていただく決め手にはまずなりませんが)

※普通にアンティークものを買えば3万円くらいはしますが、それでは費用対効果が悪すぎるのでオークションで1万円以下のものを狙っています。場合によってはアンティークのものを使います。今回のはヤフオクで作家さんから直接買ったもの。枠なしだったので安く買えました。ガラス自体は300ミリ角くらいのものです。

枠は自作しました。

玄関

リビング

寝室

洗面

キッチン1

キッチン2

物干し

5.壁面図

いよいよ壁面図です。このあたりでは既にイメージは固まってますし、過去に書いた図面からけっこう流用ができるのでスイスイ進みます。
間取り図も壁面図も実寸の10分の1サイズで書いています。プロの方もだいたいそうされてるそうですが、微妙な縮尺で書くとあとあと面倒なことになるので、10分の1で書くことを強くオススメします。パソコンデータとしての話ですから手書きの方は気にしないで下さい。あと、出力の際はA4でもA3でも自分の環境に合わせて縮小してプリントアウトして下さい。

 

作図の間も、インターネットで部材をどんどん買い込んでいます。買ったものに合わせて図面を改良するようなことも多々あります。

解体1

解体2

6.解体

基礎や柱の状態を見たいのでとりあえず、床・壁・天井の必要ない部分(ほとんどですが)を一気にはずしてもらいます。廃材を棄てるのにはお金がかかります。約35平米のこの部屋の廃材を棄てるのに約6万円、解体工事と運搬費を合わせると20万円近くかかりました。

15年ほど前にシロアリ被害が出た建物とのことで心配しましたが、その後5年連続で防虫作業をしたというだけあって、古い喰い痕はいくつかありましたが特に問題はないようです。念のため専門業者さんに確認してもらって、防虫・殺虫の処置をしてもらいました。4万円ほどかかりました。

柱位置の最終確認をして施工上の留意点を頭に入れ、施工業者の大工さんとも気になる点の話はしておきます。図面の微調整もこの時点でしておきます。

いよいよ施工に入ります。

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