◇引き戸を自作する

◇ホームセンターで買える材料で簡単に作ってみた引き戸をご紹介します

最初にお断りしておきますが、ここでご紹介する作り方はめちゃくちゃ邪道です。ゆがみのない建具をきちんと作るにはそれなりの工具と技量が必要です。ホゾ、カマチなどの用語がわかってミゾキリ、トリマー、ノミなどの工具に慣れている人はセミプロ用のDIY解説ページがいくらでもあるのでそちらをご参照下さい。
さてそれでは、あんまり難しいことはできないよ、とか多少のユガミは気にしないよ、という方向けに作り方を簡単に解説していきます。

 

1.コスト =引き戸2枚と取り付け部材一式で約3万円

 

2.材料

角材/ドアの厚みの標準サイズは30ミリ前後です。完成後の厚みがそうなるように角材を選びます。60ミリ×30ミリくらいのものが扱いやすいと思います。最低1800ミリ、できれば2000ミリ以上の長さのあるものを買ってください。引き戸1枚に対して角材が3本必要です。(横幅によっては2枚を5本で作れるかも)
※ホームセンターで檜や杉材、あるいはその集成材でカンナがけされたものを買っています。曲がっているものが多いので何回かに分けてまっすぐなものを選んでいます。小売りしてくれる材木屋さんが近くにあるようならそういうところを利用する方がいいでしょうね。

アルミ材/「コ」の字型。ガラス代わりにはめるツインカーボを固定するために使います。ミゾ引きやルーター、トリマーで角材に直接ミゾを彫り込む方が普通ですが、そういう作業に自信が無い方はこういった部材を使えば楽です。できあがりに高級感が出ますよ。

戸車/平形、U字型、V字型、Y字型などいろいろあります。私は、以前はY字型を使っていましたが今はV字型を使うようにしています。

戸車の代用品として左下の写真のようなプラスチックパーツもあります。

敷居/フローリングに後から引き戸を取り付ける場合はアルミのフラットレールが便利です。床に彫り込みを入れてから取り付けるレールもありますし、木製の敷居を取り付けるというやり方もありますが。写真はV字型のレール(左)とY字型のレール(右)。Y字型はしっかり戸車がはまって安定感があるのですが、なぜかミゾの部分をネジ留めするようになっているのでそこで「ガタゴト」と音なりします。V字の方はミゾの外側をネジ留めします。一軒家なら気にすることもないのでしょうがアパートや長屋では近隣トラブルの元です。

3.設計

建具の幅は、間口のサイズに合わせて調整することになりますが、2枚戸や3枚戸では重なり部分が必要になりますから注意が必要です。重なる部分の幅は30ミリ〜50ミリくらい。仮に1200ミリの開口で2枚戸で重なりを40ミリ分取るとすると、1200ミリ+重なり部分40ミリ=1240ミリ、÷2枚=620ミリ。1枚分の幅は620ミリということになります。

左の図面は角材が40×30×1800ミリのものを想定しています。40ミリの縦棒が2本で80ミリですので、下に付ける横棒のサイズは540ミリになります。

4.枠のカット&仮組み

○引き戸の高さは買ってきた角材の長さをそのまま活かすよ、という作り方

上下の横棒2本を設計したサイズに合わせてカットします。横幅600ミリの引き戸を30×60×2000ミリの角材で作る場合は左のようになります。

○買って来た角材の長さより背の高い引き戸を作りたいよ、というときの作り方

上の横棒は引き戸の横幅サイズでカットします。下の横棒は縦棒の幅を引いた長さでカットします(逆でもかまいません)。横幅600ミリの引き戸を30×60×1800ミリの角材で作る場合は左のようになります。(上の横棒の厚みを増やせばもう少し背の高いものも作れますが、ネジ留めでは60ミリくらいが限界でしょう。タボやホゾを使えばもう少し分厚いものも付けられるでしょうけどね)

 

 

 

 

5.戸車の取り付け

縦棒の下、または下に使う横棒に彫り込みをいれて戸車を埋め込みます。ドリルでいくつか穴を開け、ノミで削って形を整えます。リフォームで使う場合、取り付け先の壁が垂直になっているとはかぎりませんので、この彫り込みの深さで左右の高さ調整をするようなことも考えておかないといけません。(そのあたりは最終調整になります)

 

6.枠の組み立て1

水平な場所で角材が直角になるようにシャコ万力などで固定した状態でネジ留めします。左のような工具(皿取錐/皿ネジを埋め込む形で取り付けるためのドリル刃)で事前にネジ穴を彫り込んでおくことをオススメします。穴は普通、木栓で塞ぎます。パテで埋めるやり方もあります。あるいは家具用のシールや戸当たり用のゴム材を貼ってごまかすこともできます。

塗装する場合はこの段階でしておきます。ペンキやニスを塗る場合どうしてもケバだってしまいます。塗っては紙ヤスリ、塗っては紙ヤスリをくり返してなるべくツルツルに近づけましょう。直接手で触れる部材なので。

※ガラス代わりのツインカーボは最後にはめ込むので、上の横木はこの段階では固定しません

7.アルミ材の取り付け

組み立てた引き戸の内寸に合わせてアルミ材をカットします。丸ノコを使う場合は切りくずでケガしないよう防護メガネをつけましょう。アルミ材の何カ所かに穴を開けてネジ留めします。ネジは細くて短い物で大丈夫です。ボンドで留めてもOK。
※写真はツインカーボをはめた状態

8.枠の組み立て2

以上で三方枠ができた状態です。ツインカーボをはめる段階まで来ました。ツインカーボは軽くて丈夫でしかもカッターで簡単にカットできます。ガラスやアクリル板でももちろんいいのですが、ガラスを家庭でカットできる人は少ないでしょうし、アクリル板もある程度の厚みになると切るのは大変です。ツインカーボには色や透明度でいくつか種類がありますので好みのものを選んで下さい。ホームセンターなどで買えます。ネットでも買えますが大きいので送料が高いです。

いよいよ枠の最終組み立てです。上の横棒をネジ留めします。鴨居にはまるようにL字に削るのが一般的ですが、私はここでも手を抜いて別の角材を強力接着剤&ネジで留めてしまいます。強度の問題もあるのでオススメはしませんがマネする方は10ミリ角〜12ミリ角くらいのものを使って下さい。鴨居のミゾに隠れてしまう部分ですが、気になる方はこの角棒も塗装して下さい。

9.引き手の取り付け

引き戸の場合は彫り込みで引き手を付けるのが一般的です。ツインカーボを使っている場合は建具自体が軽いので引き手なしでも簡単に開け閉めはできますが、問題は見栄えですね。引き手があるとないとでだいぶ見栄えが違います。ドリルとノミで彫り込みを入れて取り付けます。トリマーやルーターがあると楽に加工ができますが。重ならない側は下の写真にあるように把手やハンドルを付けてしまうことも可能です。印象がだいぶ変わるでしょう。

10.完成&現場取り付け

現場作業ではまず床にレール(敷居)を取り付けます。VレールでもYレールでも、1800ミリで2千円弱です。木目プリントのものもありますが少し高いです。
建具の高さに合わせて上に鴨居を取り付けます。鴨居はホームセンターなどでも売っています(3600ミリとかの長いサイズしか見たことありませんが)。ミゾキリなどを使って自作することも可能です。送料を気にしなければネットでの購入ももちろん可能です。私はL字金具で後から取り付けていますが、大工さんなら先に柱や壁に切り込み(ほぞ)を入れておいて取り付けるのが普通です。引き戸の付け外しの際少し上に持ち上げないといけませんからその余裕を見ておかないといけません。通常は5〜8ミリ程度の余裕を見ておきます。

壁のゆがみ、あるいは建具自体のゆがみですきまができる場合は、戸車の高さで調整します。低くする場合は彫り込みを深くする、高くする場合は戸車の下にワッシャーなどをかまして調整します。(高さが微調整できるようになっている戸車もあります)

左の写真はこれまでに自作したものの一部です。ペンキを塗ったりニスを塗ったり生成風にラッカースプレーだけ塗ったり、部屋に合わせて変化を付けています。
戸当たり代わりに電設で使うモールを壁に当たる部分に貼り付けました。

上で最初に書いたとおり、2枚の引き戸、鴨居、敷居その他もろもろ1セットで約3万円くらいでできています。

 

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