本の基礎知識
1.本の種類 本には「中綴じ(なかとじ)」と「平綴じ(ひらとじ)」の2種類があります。
中綴じとは、全体を2つ折りにして針金で綴じたものを言い、雑誌に多いタイプです。
平綴じとは、コミック単行本、文庫本のような形のものを言います。本の背(後述)をノリ留めしたものを特に「無線綴じ」と言い、現在の単行本の主流がこれです。平綴じには糸や針金で綴じるものもあるため、線(糸・針金)を使わないということで特にそういう言い方をします。
2.右綴じと左綴じ 表紙を上にして置いた状態で、右側を綴じたものを「右綴じ」、左側を綴じたものを「左綴じ」と言います。縦書きの本は右から左へ読み進むため右綴じが普通で、横書きのものは逆に左綴じにするのが普通です。
ほかに「右開き」「左開き」という言い方もありますが、右へ開いていくのが右開き、左へ開いていくのが左開きということらしいです。らしいです、というのは、解説書によっては「右綴じ・左開き」などという説明をしているものも中にはあるからですが、一般的には右綴じの本は右へ開いていくので右開きということになります。人によって解釈が違うかもしれないってとこはよく理解しておいて、何人かで作業するときは事前にきちんと確認し合っておくことが必要です。
3.本の部位の呼び方 本の部位には決まった呼び方があります。
本の上側を「天(てん)」、下側を「地(ち)」、綴じた側の内側を「のど」、外側を「背(せ)」、綴じたのと逆側の開く側を「小口(こぐち)」と言います。
表紙の表や裏にも呼び名があり、表紙部分を「表1(ひょういち)」、その裏を「表2」、裏表紙を「表4」、その裏側を「表3」と呼びます。背に厚みがある場合は特に「背表紙」などという言い方で呼びます。
4.トンボと裁断 少し専門的な話になりますが、綴じてできあがった本は、天地や小口をカットすることでよりきれいに出来上がります。カットの目安にするための部品を「トンボ」と呼びます。また、カットすることを専門用語では「裁断(さいだん)」と言います。
ミニブックの作り方
(中綴じタイプ) 1.総ページ数の確認 たとえばA5サイズの中綴じ本を作るとすると、A4横サイズの用紙にA5を2ページ並べた見開きで裏表両面を印刷し折って綴じるという形が普通です。つまり、1枚の用紙で表・裏合わせて4ページ分。最終的には全部を重ねて2つ折りにしてホッチキス留めしますので、あらかじめ全体のページ数を決めておかないと中綴じの本は作れません。総ページ数は4の倍数ということになり、4、8、12、16、20ページというのが基本です。ホッチキス留めの中綴じで厚みのあるものを作るのは大変です。48ページくらいでホッチキスではかなりしんどくなってきます。厚いものはなるべく平綴じで作りましょう。
2.面付け 仮に12ページの本を中綴じで作るとすると、1ページ目の隣には最終ページの12ページ目が、その裏には2ページ目と11ページ目が来るようにしておかないと正しい本になりません。
このように印刷する用紙の中でページを調整することを「面付け(めんつけ)」と言います。本全体のページ調整を「台割り(だいわり)」と言います。ちなみに「台」というのは印刷の単位のひとつで、1枚に4ページ印刷するものであれば、1台=4ページになります。12ページの本なら3台分の本ということですね。もうひとつちなみに、ページネーションのことを指して台割りと言う場合もあります。(参考のために面付け表を作ってみました)
3.用紙選び 表紙以外の用紙のことを「本文(ほんぶん)用紙」と言いますが、薄い用紙で薄い本を作ると立てたときにダラ〜ンとなってみっともないので、本全体の厚みに合わせて用紙を選んでください。その際、裏と表で紙質が違うようなものは避けましょう。
表紙の用紙は本文用紙より少し厚めのものにします。ただ、極端に厚いものを選ぶと開くのが大変なので注意してください。minibook.jpでは、厚さ0.2mmくらいのものを推奨しています。
4.プリントアウト CS以前のインデザインやワードなどのページもの制作ソフトで中綴じ本を作る場合、ページ数の多いものを作るのはかなり大変です。1ページから最終ページまで普通に作って、1ページごとにPDFやGIFなどで出力し、それを改めて面付け順にインデザインやワードに貼り付けるというのが現実的かもしれません。
中綴じの面付け順にページを組んだとして、それをプリントアウトする場合は、偶数ページを逆順で印刷し、でそれをひっくりかえしてプリンターにセットしなおして奇数ページを逆順で印刷すると1台目から順に台が並びます。
※プリント(印刷)の「用紙処理」で設定します。(メーカーによって処理方法は異なるかも。詳しくはプリンタの取説で確認を)
(参考:CS2以降のAdobe Indesignには中綴じ印刷機能あり。その使い方)
5.製本と裁断 プリントアウトしたものを重ねて2つ折りにします。あらかじめ真ん中に薄いグレーや黄色で線を入れておくといいでしょう。プリンタによって、若干中心に狂いが出るのでその微調整にも役立ちます。
折ったら、段ボール箱などホッチキスの針が刺さるものの上で右図のようにホッチキス留めしましょう。2カ所で十分ですが、気になる方は3カ所留めしてください。突き出たままの針は平らなもので慎重に曲げて留めます。
同じサイズの紙を重ねて曲げている関係で、内側のページが小口側にどうしてもはみ出てきます。表紙の小口側に揃えてカッター等で裁断するときれいに出来上がります。完璧を期すなら、文房具店やホームセンターで裁断機を買ってきてください。
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ミニブックの作り方
(平綴じタイプ) 1.面付け ページ数の基本は中綴じと同じく4の倍数になりますが、中綴じと違って途中にA5用紙を1枚挟み込んだりすることもできるので4の倍数でないページ数の本も作れます。
プリントアウト時の面付けは中綴じよりも簡単で、1ページ目の横に4ページ目、裏側に2&3ページ目の見開きという形で、4ページ単位で繰り返して作っていけば何百ページの本であっても作ることが可能です。
2.用紙選び 用紙選びについても中綴じと変わりはありません。問題は、分厚い本を作ったときの表紙のことだけ。まず、背表紙の厚みを調整するのが大変です。またその分大きなサイズの用紙を用意しないといけません。
表1&2と背表紙だけまず貼り付けて、表3&4については別に用意して貼り合わせるというやり方もあります。A4プリンタでA5サイズの分厚い本を作る場合はそれがベストな解決策になるでしょう。
3.プリントアウト インデザインやワードなどのページもの制作ソフトで作る場合は、見開きで4ページと1ページ、その次の見開きで2ページ・3ページ、次が8・5、次が6・7、…というふうにページを並べて作ります。で、プリントアウトのときに、偶数のシートを逆順で印刷し、でそれをひっくりかえしてプリンターにセットして奇数のシートを逆順で印刷すると1台目から順に台が並びます。
※プリント(印刷)の「用紙処理」で設定します。(メーカーによって処理方法は異なるかも。詳しくはプリンタの取説で確認を)
4.製本と裁断 プリントアウトしたものを1枚ずつ2つ折りにします。あとはそれを重ねていくだけです。背のところをうまく合わせて製本するわけですが、薄い本なら背から数ミリのところでホッチキス留めしてしまいましょう。分厚いものなら糸で何カ所か綴じます(ホッチキスや糸で綴じずボンドだけで留めることも可能です)。
そうしてできあがった本体に表紙をボンドで留めれば完成です。一番使い勝手がいいのは木工用ボンドで、市販の本とほとんど変わらない仕上がりになりますよ。背の何カ所かにカッター等で傷を付けておくとボンドがしっかりくっつきます。
ボンドを付けたら表紙をくるむようにくっつけます。背がまっすぐになるように平らなところで軽くたたきつけたりしつつ、全体の形を整えてください。あとは板などで上下から押さえて乾くのを待つだけです。
平綴じの一番いいところは分厚い本でも簡単に作れるところですが、その場合は裁断が大変です。カッターでの裁断も不可能ではないですが、厚みに合う裁断機を用意する方が無難でしょうね。手先の器用な人なら小口をきちんと揃えるだけで裁断なしにきれいに製本することもできるでしょうけど…。
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●おまけ*中綴じの面付け早わかり表
12p中綴じ右綴じ・16p中綴じ右綴じ・24p中綴じ右綴じ
32p中綴じ右綴じ・40p中綴じ右綴じ・48p中綴じ右綴じ
12p中綴じ左綴じ・16p中綴じ左綴じ・24p中綴じ左綴じ
32p中綴じ左綴じ・40p中綴じ左綴じ・48p中綴じ左綴じ
●おまけ*ミニブック 業界標準規格(サイズ)一覧
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